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米海軍特殊部隊SEALsのMk 18 Mod 1カービン ― それはもはやM4A1カービンではない(+ アッパーレシーバーの個体管理について)


記事公開: 2016年09月26日 05時15分
最終更新: 2016年10月23日 02時03分

本稿の要旨

  1. 現在の米海軍特殊部隊(NSW / SEALs)は、Mk 18 Mod 1カービンを使用している。
  2. 現在の米軍特殊部隊(SOCOM)は、M4A1 / Mk 18 Mod 1カービンのアッパーレシーバーについて、シリアルナンバーとデータマトリックスの表示による個体管理を実施している。

貴重な情報と写真を提供してくださったARFCOMのCombat Diver氏をはじめとする諸兄に感謝する。

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SCAR-blue

自衛隊の次世代型モジュラーライフルを考える(後編) ― 米軍特殊作戦部隊によるSCARの運用を参考として


記事公開: 2016年09月18日 16時39分

「陸上自衛隊で使用している89式5.56mm小銃の後継銃を開発するための参考器材」である試験用小火器に関する陸自仕様書が公開されたのは、今年3月のことだった。その内容に衝撃を受けた私が自衛隊の次期主力小銃開発について記事を書こうと思ったのは、その頃であった。しかし結局、この記事がこうして発表されたのは、それから半年近くも後のことになってしまった。今更だと思われる読者もいるかもしれないが、どうか最後までお付き合い願いたい。

前編では、豊和工業の新型国産小銃である試験用小火器は、ベルギー/アメリカのFN SCARに強い影響を受けて開発されたものであるということに加え、「豊和工業とAR-18の関係」および「AR-18とFN SCARの関係」を考慮すれば、その類似は合理的であるということを主張した。また、89式小銃を基に試作された先進軽量化小銃や、自衛隊特殊部隊が使用する輸入小銃などを紹介することで、89式登場後の自衛隊小銃史を整理した。後編となる本稿では、第一に、仕様書の内容に立ち返って試験用小火器の各部仕様について特徴を述べる。そして第二に、モジュラーライフル運用のモデルケースとして、米軍特殊作戦部隊(SOF)によるFN SCARの運用法を紹介し、自衛隊における次世代型小銃の運用について考えるための礎とする。

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Type-X-Rifle

自衛隊の次世代型モジュラーライフルを考える(前編) ― 「ポスト89式」を巡るこれまでの議論を基に


記事公開: 2016年06月26日 21時47分

前回の記事では、戦後の国産小銃開発に関する秀逸な文献をいくつか紹介し、64/89式小銃の開発史について述べた。私も、調査と執筆を通して、新たな事実を多く発見することができた。今回は、前回の予告通り、待望の「ポスト89式」について考えたい。89式小銃の後継者となる自衛隊の第3世代小銃は、一体どのようなライフルになるのだろうか?

情報開示された自衛隊の国産試験用小火器

Photo retrieved from @BigCalibre_John

Photo retrieved from @BigCalibre_John

昨年12月、Twitterユーザーの大火力太郎さんが上の画像を公開し、今年3月には「大明神」の許可を得て、この画像の出処である陸上自衛隊仕様書(GRD-Y000628)を公開してくださった。この仕様書は、「陸上自衛隊において使用する小火器(試験用)について規定する」ものであり、防衛省陸上幕僚監部の開発官によって2014年9月11日付で作成された。

これが自衛隊の次世代小銃であると決定したわけではないが、上の画像に描かれているものは、自衛隊の次世代小銃になり得る国産小銃のプロトタイプであるかもしれない。これほど重大な情報を共有してくださった大火力太郎さんには、心からお礼を申し上げたい。

描かれた二つのライフルは同一のものではない(図は同じであるが)。非常に興味深いことに、この試験用小火器には、5.56mm仕様と7.62mm仕様の二種類が存在するのである。その仕様/構造を見ても、これはもはや「日本製SCAR」であると言わざるを得ない。下のFN SCAR-L/Hの写真と比べてみて欲しい。確かに防衛省(陸自開発実験団)は、SCAR-L/HやHK416/417などの外国製最新小銃を参考用として調達/保有しているが、その結果開発された新型国産小銃がここまでFN SCARと似ているとは思いの外だった。

なお、小林春彦(2015)「『如何に戦うか』要求性能案作成から試験評価まで 豊富な人材を有する陸自唯一の研究・試験専門部隊『開発実験団』の新たな挑戦!」,『軍事研究』2015年3月号, pp.28-41, ジャパン・ミリタリー・レビュー.の31ページには、開発実験団の保有する外国製小銃が並んでいる写真が掲載されている。

FN SCAR-L

FN SCAR-L (5.56x45mm NATO)

FN SCAR-H

FN SCAR-H (7.62x51mm NATO)

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2012-04-08 08.56.38

自衛隊新小銃の登場前に読んでおきたい64/89式小銃の開発史 ― 「日本製AR-10」の真相を求めて


記事公開: 2016年04月16日 15時02分
最終更新: 2016年04月22日 00時04分

上写真: 2012年4月、陸上自衛隊宇都宮駐屯地の創立記念祭で展示された89式小銃(撮影者は私)。個体番号は030956で、「89R」の刻印と左側の追加セレクターレバーが確認できる。宇都宮駐屯地は、陸自の普通科連隊の中で最もタクティカルな個人装備を使用する中央即応連隊が駐屯していることで知られる。今年の創立記念祭でも、モジュラーハンドガードに換装された89式小銃を使用する中即連隊員が目撃され、話題となった。

「日本製AR-10」との出会い

1~2年前に、Twitterで下の画像を拾った(誰が貼ったかは失念してしまった)。

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その姿や日本語のキャプションから、「どうやら64式小銃の開発史/プロトタイプをまとめたものらしい」ということはすぐに分かった。64式小銃の成り立ちが一枚に収められた興味深い画像であるが、私が注目したのは上から二つのR1型とR2型である。これらは、アーマライト社がカリフォルニア州ハリウッドに拠点を構えていた頃の1950年代後期に生産されたAR-10(通称ハリウッドモデル)とよく似ている。下のハリウッドモデルの写真とR1/R2型を比べてみて欲しい。

Photo retrieved from James D. Julia

Photo retrieved from James D. Julia

AR-10の登場当時にはまだ一般的でなかった直銃床のデザインや、リアサイトを兼ねたキャリーハンドルとその内側にあるチャージングハンドル、細長いハンドガードの先から突出したフロントサイトなど、いくつもの共通点がある。しかも、R1型ではAR-10と同じガス直噴(DI)式の採用も計画されたというではないか(結局ピストン式で試作されたそうだが)。ハリウッドモデルが登場したのは1955年以降である一方、R1型が試作されたのは1958年(設計は1957年)であるから、R1型は当時としては最先端のライフルを参考にして開発されたことになる。

「第2次大戦後、初めて日本で設計され試作された」ライフルがAR-10に範を取っていたという事実に、私は強く心が惹かれ、この「日本製AR-10」についてもっと詳しく知りたいと思った。この画像の出処に関する情報提供をTwitterでお願いしたところ、親切なフォロワーさんが「月刊Gun誌1992年5月号の国産小銃特集ではないか」と教えてくださった。

そして私は先日、日本製AR-10の真相を求めて、国立国会図書館へ足を運んだ。(実際には、教えて頂いてからだいぶ月日が経っていたのだが。)

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AR-18-delivered-to-Japanese-Defense-Agency-1

防衛庁に納入された自衛隊仕様の豊和工業製AR-18ライフル


記事公開: 2015年06月14日 23時55分

日本の防衛省が、FN SCAR-L/HやH&K HK417およびG36を試験用として調達し、更に国産の試験用小火器を豊和工業に発注していたことが先週報じられてから、僕の中では89式小銃に次ぐ自衛隊の次期サービスライフルへの期待が再燃している。

今回は、89式小銃が1989年に制式化される前に、当時の防衛庁に納入された試験用小火器を紹介したい。

豊和工業はかつて(1967〜1974年)アーマライト社のAR-18 / AR-180ライフルをライセンス生産していた実績を持ち、89式小銃の開発にはそのノウハウが活かされたことはテッポーオタクの周知の通りである。

しかし、この豊和工業製AR-18が、防衛庁に少数納入されていたことを皆さんはご存知だろうか?

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