「ナジャフの戦い」から 10 年、作戦に参加したトラヴィス・ハーレイ氏が当時を振り返る

「ナジャフの戦い」から 10 年、作戦に参加したトラヴィス・ハーレイ氏が当時を振り返る

イラク戦争の最中であった 2004 年 4 月 4 日、イラク中南部の都市・ナジャフで、連合国暫定当局 (CPA) の施設がシーア派の武装勢力に襲撃され、民間軍事会社 (PMC)・ブラックウォーター社の社員と軍警察、アメリカ海兵隊員が決死の攻防戦を繰り広げるという事件が発生しました。

あれから 10 年。当時、ブラックウォーター社の社員として CPA の施設防衛に当たったトラヴィス・ハーレイ (Travis Haley) 氏が、「ナジャフの戦い」を振り返りました。

 

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ハーレイ氏は、世界中でタクトレブームを巻き起こした Magpul Dynamics の創設者・元インストラクターとして、日本でもよく知られています。
現在は Haley Strategic Partners 社を設立し独立、インストラクターとして活躍しながら、”Disruptive Environment Chest Rig” (D3CR) などのタクティカルギアの開発も行っています。

 

ハーレイ氏はアメリカ海兵隊に 15 年間所属し、その内 10 年間以上を武装偵察部隊 (通称フォース・リーコン) で過ごしました。中東、アフリカ、そして中央アジアでの実戦も経験しているそうです。

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イラクにて。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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アルバニアにて。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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HALO (高高度降下低高度開傘) 降下用の装備を身に着けたハーレイ氏。
Pic from: Travis Haley – Facebook

退役後、ハーレイ氏はいくつかの民間軍事会社 (PMC) や民間警備会社 (PSC) に入社し、政府関係者や軍高官、外交官などの護衛を務めました。中でも最も有名なのが、ブラックウォーター社 (現 Academi 社) です。

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「ナジャフの戦い」でスナイパーを務めるハーレイ氏。スポッターは、元米海軍 SEAL の Ben Thomas 氏。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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イラン・イラクの国境線の近くにて。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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イラクでの夜間作戦に参加するハーレイ氏。
Pic from: Travis Haley – Facebook

その後、ハーレイ氏は Simply Dynamic 社 (SDI) を立ち上げ独立。軍隊・法執行機関・民間向けのタクティカルトレーニングプログラムを提供し、これが後の Magpul Dynamics の基礎となりました。

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“SDI” のキャップを被るハーレイ氏。手にしているライフルは、ナジャフの戦いでの功績によりブラックウォーター社から贈られたメモリアルライフル (ナジャフで使用したものと同じ仕様になっている)。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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ロウワーレシーバーには、ナジャフの地名と、ブラックウォーター社のロゴ、そして 2004 年 4 月 4 日の日付が刻印されている。
Pic from: Travis Haley – Facebook

ハーレイ氏は Magpul 社と協力関係を結んだことにより、Magpul 社のトレーニング部門となる Magpul Dynamics 社を創設します。トレーニングビデオ “The Arf of ~” シリーズの発売により、彼とクリス・コスタ氏のコンビは世界的にも有名になりました。その後ハーレイ氏は、親会社である Magpul 社の社長にも就任し、製品開発にも携わりました。

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Magpul のロゴマークが刺繍されたシャツを着るハーレイ氏。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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Magpul 社が開発した “MASADA” を Remington Defense 社が軍・法執行機関向けに生産したモデル、”ACR” を撃つハーレイ氏。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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ロシアのイズマッシュ社が開発したセミオートショットガン、サイガ 12 のカスタムモデルを撃つハーレイ氏。ちなみに、ハーレイ氏とコスタ氏が “The Art of ~” シリーズで使用していた Ares Gear 社の Ranger ベルトと Raven Concelment Systems 社の Phantom カイデックスホルスターは絶大な人気を誇り、現在でも品薄状態が続いている。
Pic from: Travis Haley – Facebook

2011 年 1 月に Magpul 社を退社し、後に Haley Strategic Partners (HSP) 社を立ち上げました。ハーレイ氏は Panteao Productions 社のトレーニングビデオ “Make Ready with ~” シリーズにも出演し、現在も HSP でトレーニングサービスと製品開発を行っています。

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“Make Ready with Travis Haley: Adaptive Kalash” で、AK プラットフォームのタクティカルな運用方法を指導するハーレイ氏。
Pic from: Travis Haley – Facebook
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Haley Strategic 社のインストラクターとして「授業」を行うハーレイ氏。現在 Haley Strategic 社は、Bravo Company Manufacturing (BCM) 社、B5 Systems 社、Inforce 社、G-CODE 社などと協力関係にある。
Pic from: Travis Haley – Facebook

先述の通り、ハーレイ氏の戦術と製品は、日本のサバイバルゲーム界隈にも大きな影響を及ぼしています。
今後、どのような活躍を見せてくれるのか楽しみですね。