3次元データを基に樹脂などで立体を作り出すことが出来る3Dプリンター。今、アメリカを始めとする世界各国で、3Dデータと3Dプリンターさえあれば誰でも製造が可能な銃、「3Dプリンター銃」の存在が問題となっています。
問題の発端となったのは、インターネットを通じた武器の開発と情報提供を目指すアメリカの非営利組織Defense Distributedが昨年5月に発表した、世界初の3Dプリンター銃「リベレーター」(Liberator)でした。
強度の問題から撃針(ファイアリングピン)だけは別途金属を使用するものの、家庭用3Dプリンターでも出力可能であることや、単発式で構造が簡単であることから、公開された3Dデータは、日本からも6万件以上ダウンロードされたそうです。
実弾を発射出来る「実銃」として設計された3Dプリンター銃のデータをダウンロード・保存するだけなら違法性は問われませんが、日本国内において実際に作ってしまうと当然、銃刀法および武器等製造法違反になります。
しかしそんな中、3Dプリンター銃を、実弾を発射しない発火モデルガンとして日本国内で合法的に製造、3Dデータの公開も行う人物が現れました。
追記:
3Dプリンター銃、自作被告に懲役2年 横浜地裁判決:朝日新聞デジタル
3D(3次元)プリンターを使って拳銃を自作したなどとして、武器等製造法違反と銃刀法違反の罪に問われた元湘南工科大学職員、居村佳知被告(28)に対し、横浜地裁は20日、懲役2年(求刑懲役3年6カ月)の実刑判決を言い渡した。(中略)被告は公判で、弾の発射を妨げるアルミ板を銃身に挿入し、発射できない状態に加工していたことから、「殺傷能力があるとは思っていなかった」などと違法性の認識を否定した。
当初JISAKUJIEN.orgでは、imura2011こと居村佳知被告による3Dプリンター銃の製造を「合法的」とお伝えしましたが、これは誤りでした。お騒がせ致しましたことを深くお詫び申し上げます。
以下に掲載する情報は全て、居村被告の逮捕前のものです。
3Dプリンター銃「リベレーター」日本で発火モデルガンとして合法的に製造成功 3D Printed Guns – YouTube
3Dプリンター銃「リベレーター」ついに日本国内で発砲!! – YouTube
オリジナルの「国産3Dプリンター銃」も開発・製造しているようです。
3Dプリンター銃 38口径単発 日本が独自開発!! – YouTube
一般に流通している空薬莢を利用して、3Dプリンター銃用の弾薬を製造する方法も紹介されています。
日本国内で3Dプリンター銃の弾丸を一般市民が作る方法 – YouTube
これらの動画を投稿したimura2011氏は、自らのサイトにて、ここで紹介したものの他にも、発火モデルガン化された数種類の3Dプリンター銃の3Dデータを公開すると共に、人々が銃を持ち武装する権利、「武装権」の必要性を訴えています。
アメリカでは、合衆国憲法修正第2条によって、人民の武装権は基本的人権の一つとして保障されています。「規律ある民兵は、自由な国家の安全にとって必要である」というのが、その根拠とされています。
リベレーターが発表された当時は、「樹脂製である3Dプリンター銃から実弾を発射するのは、強度的に問題がある」という見方が強かったのですが、昨年11月には、テキサス州のSolid Concepts社が、金属を加工出来る特殊な3Dプリンターを用いて金属製の3Dプリンター銃(SC 1911)を製作し、50発以上もの実弾の発射に成功したことが大きな話題となりました。
今後、「3Dプリンター銃」はどうなっていくのでしょうか。
出典: