今月 7 日から 10 日にかけてドイツ・ニュルンベルクメッセで開催された IWA & Outdoor Classics 2014 にて、ドイツの Heckler & Kock (H&K) 社は、同社を代表する G36 ライフルの新たな民生用モデルとなる “HK243” を公開しました。
IWA & Outdoor Classics は、アウトドア用品、ハンティング・スポーツ用銃器、弾薬、及びその周辺機器などを対象にしたヨーロッパ最大規模の国際展示会で、「ドイツ版ショットショー」とも呼ばれています。
民生用 G36 としては、以前から H&K SL8 が存在していました。SL8 はいかにもスポーティングライフルらしい外見だった一方、今回公開された HK243 は、オリジナルの G36 により近い、タクティカルな外見に仕上がっています。
一部のパーツは G36 と互換性があるものの、ボルトとバレルのデザインは HK243 独自のものに変更されています。更にドイツでは、銃器製造業者が「戦争に使用される武器」 (weapons of war) を民間人に販売することが禁じられている為、フルオート射撃が可能な状態 (セレクティブファイア) にコンバート出来ないように十分な変更が施されているようです。
また、”HK243″ はヨーロッパ向けモデルの名称で、アメリカ国内では “HK293” の名で販売される予定とのことです。
HK243 には、”TAR” (Tactical Automatic Rifle) と “SAR” (Semi-Automatic Rifle) の 2 つのバリエーションがあり、TAR は上位モデルで、SAR が下位モデルという位置づけになっているようです。
TAR と SAR の仕様をそれぞれまとめてみると、以下のようになります。
TAR (上位モデル)
- 長さと高さを調節可能なフォールディングストック
- ピカティニーレイルと KeyMod スロットを備えたアルミ製ハンドガード
- ロープロファイル仕様のフォールディングサイトを内蔵したアルミ製サイトレイル
- フラッシュハイダーを標準装備
SAR (下位モデル)
- オリジナルの G36 スタイルのフォールディングストック
- ハンドガードにレイルシステムは無し
- サイトレイルはポリマー製
- フラッシュハイダーは付属しない
HK243 は G36 用のマガジンを使用しますが、マグウェルを別売りのものに交換することにより、”HK416 のマガジン” (原文ママ) を使うことも出来るようです。
何故「STANAG 規格に準拠したマガジン」と書かなかったのか、疑問ですね……。
また、下位モデルである SAR を、上位モデルの TAR と同等の仕様にアップグレードする為の、レイルドハンドガード、アルミ製サイトレイル、アジャスタブル・フォールディングストック、フラッシュハイダーのセットも販売されるとのこと。
H&K社は、MR556/762A1-SD で既に KeyMod システムを採用していて、今回の HK243 でも KeyMod を採用したことから、今後 H&K 社の銃には KeyMod が多く見られることになりそうです。
ちなみに、MR556/762A1-SD では KeyMod スロットの向きが前後逆になっていることが話題になりましたが、HK243 では修正された模様。
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