アメリカでは、法律上、バレル長 16 インチ未満のライフルは「ショートバレルド・ライフル」 (short-barreled rifle, SBR)、バレル長 18 インチ未満のショットガンは「ショートバレルド・ショットガン」 (short-barreled shotgun, SBS) に分類され、連邦火器法 (National Firearms Act, NFA) による規制の対象となります。
一般的に、SBR / SBS は、「アルコール・タバコ・火器及び爆発物取締局」 (ATF) への登録を行い、200 ドルの税を納めれば、一般市民でも合法的に所持することが可能です。
しかし、地方公共団体が法律で SBR / SBS の所持を禁じている場合、当然ながら、その地域に住む市民は SBR / SBS を所持することは出来ません。
ミシガン州では、1931 年に、ミシガン州内での SBR / SBS の所持・製造・譲渡を禁じる州法が成立しました。この州法により、1931 年から約 80 年もの間、ミシガン州で SBR / SBS を所持することは違法だとされてきたのです。
連邦火器法 (NFA) が成立したのは 1934 年であるため、ミシガン州は連邦政府に先駆けて SBR / SBS を規制したということになります。
しかし今回、1931 年の SBR / SBS 規制法を撤廃することを掲げた「上院法案第 610 号」 (Senate Bill 610, ミシガン州議会の Michael Green 上院議員が起草) が議会で可決され、3 月 27 日、Rick Snyder 知事の署名をもって成立し、ミシガン州内での SBR / SBS の所持・製造・譲渡が合法化されました。
成立した「上院法案第 610 号」は直ちに効力を発するとのことですが、この法律には一つだけ難点があり、SBR / SBS を携行する際には、連邦政府の許可を受けたことを証明する登録証も合わせて携行しなければならないと定められています。
登録証を提示出来ない場合、法執行官 (警察官など) によって SBR / SBS を押収される恐れがあるそうです。
何故、ミシガン州は連邦政府に先駆けて銃規制を強化したのでしょうか?
ミシガン州 (特にデトロイト周辺) は、総人口に対する黒人人口の比率が高いことで知られています。
1925 年、ミシガン州デトロイトに住んでいた Ossian Sweet さんという名の黒人医師が、暴徒の襲撃から家族を守る為に拳銃で暴徒を射殺した事件 (後に敏腕弁護士である Clarence Darrow さんの弁護により無罪を勝ち取った) を受け、当時 KKK (クー・クラックス・クラン) によるロビー活動の影響下にあったミシガン州議会は、黒人の武装を防ぐ目的の法律を制定していったのです。
現在アメリカでは、人民の武装権を保障した合衆国憲法修正第 2 条に反する、人種差別的で時代遅れの法律を撤廃しようとする動きが強まっています。
今後、各州の、そして連邦政府の銃規制法はどう変わるのでしょうか。
References:
- NRA-ILA | Michigan Bill to Repeal State Ban on Short Barreled Rifles and Shotguns Signed into Law by Governor
- Michigan Passes Short Barreled Rifle and Shotgun Legalization | The Truth About Guns
- GUN WATCH: Michigan Moves to Repeal Obsolete Gun Ban
- GUN WATCH: Michigan to end Ban on Some Rifles and Shotguns
- Short-barreled rifle – Wikipedia, the free encyclopedia
- Sawed-off shotgun – Wikipedia, the free encyclopedia
Thumbnail image from: Del-Ton, Inc.: SBR-Basics of the Short Barreled AR-15
The image is for illustrative purposes only.