アメリカ合衆国国境警備隊 ((アメリカ合衆国国土安全保障省(DHS; U.S. Department of Homeland Security)が所管する合衆国税関・国境警備局(CBP; U.S. Customs and Border Protection)内の連邦警察。不法移民やテロリストの入国防止、および犯罪者や禁輸品の出入国防止を任務とする。その職員数は21,000人を超え、アメリカで最も大規模な法執行機関の1つである。))(USBP; U.S. Border Patrol)が保有する16,300挺のM4カービン。その内2,000挺以上が「動作不良を起こす恐れがある」として、修繕のため回収された。突然ライフルを奪われた隊員たちからは、不安の声が相次いでいる。
今回の回収は、M4カービンの製造元であるColt社が実施したものではない。検査を行ったのは、合衆国税関・国境警備局(CBP)の教練・開発部(OTD; Office of Training and Development)。国境警備隊が保有する16,300挺のうち、およそ3分の1にあたる約5,000挺を検査したところ、2,000挺以上に動作不良を起こす恐れがあることが分かった。
国境警備隊の隊員を代表する労働組合、全米国境警備協議会(National Border Patrol Council)のスポークスマンであるショーン・モーラン(Shawn Moran)氏は、「なぜライフルが回収されたのか、そしていつ返還されるのか分かりません」と突然の回収に疑問を呈した上で、ライフルの減少に伴い隊員の間でライフルの使い回しが起こることの危険性を指摘している。「他人に合わせて照準が調整されたライフルを使うべきではありません」「私たちはそのようなライフルの使用が生死に関わる環境で働いているのです」。
しかし、CBPのロン・ヴィティエッロ(Ron Vitiello)副局長は、動作不良を起こす可能性を孕んだライフルを使い続けることの方が危険であると主張する。「我々の最優先事項は、隊員たちの安全を確保することです」。また、ヴィティエッロ副局長によれば、CBPは今後全てのM4カービンを順々に検査し、必要があれば修繕を行う予定であるという。
麻薬取締局(DEA; Drug Enforcement Administration)の元局員であり、現在はアリゾナ州ツーソン(Tucson, Arizona)で法執行機関向けのトレーニング施設「ウォリアー・スクール」(Warrior School)を運営するジェフ・プレイザー(Jeff Prather)氏は、隊員たちの置かれた状況を強く問題視している。「彼らは丸腰になったも同然です」。国境警備隊は、いつ重武装の犯罪組織と交戦することになるか分からない。中にはプレイザー氏に対して私的に不安を打ち明ける隊員もいたという。「準備が不十分であれば、隊員たちの交戦する気も失せるでしょう」「私は心から心配しています。彼らがその不安を私に打ち明けたとなれば尚更です」。
現役時代を通してM4カービンを使用していた経験を持つプレイザー氏は、M4カービンを「非常に堅牢である」と評価し、国境警備隊のM4カービンが抱える問題も容易に解決できる可能性があることを指摘した。「古いファイアリングピンを取り出し、新しいものと交換するだけで、ライフルは準備万全です」。ヴィティエッロ副局長はその可能性を認めた上で、「ファイアリングピンの交換は簡単かもしれないが、そのような作業は専門家によって行われるべきだ」と述べた。
出典: Border Patrol agents say agency’s gun recall puts them in danger | Fox News
アイキャッチ画像: Border Patrol Safe Boat in South Texas McAllen, RGV | Flickr – Photo Sharing!