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自衛隊新小銃の登場前に読んでおきたい64/89式小銃の開発史 ― 「日本製AR-10」の真相を求めて


ブックレビュー
記事公開: 2016年04月16日 15:02
最終更新: 2016年04月22日 00:04

上写真: 2012年4月、陸上自衛隊宇都宮駐屯地の創立記念祭で展示された89式小銃(撮影者は私)。個体番号は030956で、「89R」の刻印と左側の追加セレクターレバーが確認できる。宇都宮駐屯地は、陸自の普通科連隊の中で最もタクティカルな個人装備を使用する中央即応連隊が駐屯していることで知られる。今年の創立記念祭でも、モジュラーハンドガードに換装された89式小銃を使用する中即連隊員が目撃され、話題となった。

「日本製AR-10」との出会い

1~2年前に、Twitterで下の画像を拾った(誰が貼ったかは失念してしまった)。

Howa-Type-64-Prototypes

その姿や日本語のキャプションから、「どうやら64式小銃の開発史/プロトタイプをまとめたものらしい」ということはすぐに分かった。64式小銃の成り立ちが一枚に収められた興味深い画像であるが、私が注目したのは上から二つのR1型とR2型である。これらは、アーマライト社がカリフォルニア州ハリウッドに拠点を構えていた頃の1950年代後期に生産されたAR-10(通称ハリウッドモデル)とよく似ている。下のハリウッドモデルの写真とR1/R2型を比べてみて欲しい。

Photo retrieved from James D. Julia

Photo retrieved from James D. Julia

AR-10の登場当時にはまだ一般的でなかった直銃床のデザインや、リアサイトを兼ねたキャリーハンドルとその内側にあるチャージングハンドル、細長いハンドガードの先から突出したフロントサイトなど、いくつもの共通点がある。しかも、R1型ではAR-10と同じガス直噴(DI)式の採用も計画されたというではないか(結局ピストン式で試作されたそうだが)。ハリウッドモデルが登場したのは1955年以降である一方、R1型が試作されたのは1958年(設計は1957年)であるから、R1型は当時としては最先端のライフルを参考にして開発されたことになる。

「第2次大戦後、初めて日本で設計され試作された」ライフルがAR-10に範を取っていたという事実に、私は強く心が惹かれ、この「日本製AR-10」についてもっと詳しく知りたいと思った。この画像の出処に関する情報提供をTwitterでお願いしたところ、親切なフォロワーさんが「月刊Gun誌1992年5月号の国産小銃特集ではないか」と教えてくださった。

そして私は先日、日本製AR-10の真相を求めて、国立国会図書館へ足を運んだ。(実際には、教えて頂いてからだいぶ月日が経っていたのだが。)

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