カンザス州フォート・ライリーに駐留するアメリカ陸軍第1歩兵師団向けに、3,000挺のM4カービンをM4A1カービンにコンバートする作業が開始されました。
米陸軍のM4カービン改良計画、M4 PIP (Product Improvement Program)。そのフェイズ1では、一般兵士に支給されているM4カービンを、特殊作戦コマンド (SOCOM) が使用するM4A1カービンと同等の仕様にコンバートし、アップグレードすることが目標に掲げられています。
コンバートに必要なコンポーネントは、(1)M4A1用のヘヴィーバレル、(2)フルオート仕様のトリガーアセンブリ、(3)アンビデクストラス・セレクターなどであり、米陸軍は今年3月、コルト社にヘヴィーバレルの製造を、Manufacturing Support Industries社とOG Technologies社にアンビセレクターの製造を発注していました。
ロウワーレシーバーやストック、バッファーチューブ、ボルトキャリアなどは既存のM4カービンのものが使用されます。
80年代後半、M16A1ライフルに実施されたPIPによってM16A2が誕生した際、フルオート機能は3点バースト機能に置き換えられました。これは、未熟な兵士が戦地にてトリガーを引きっぱなしにして弾をバラ撒いてしまわないようにするための対策だった、というのは有名な話です。このことが「一般兵士は3点バースト (M4)、特殊部隊員はフルオート (M4A1)」という「使い分け」に繋がったわけですが、どうして今回、一般兵士向けのカービンをフルオート仕様に改めることになったのでしょうか。
Doug Maddi最先任上級曹長は、その理由について次のように述べています。
「アフガニスタンでは、『射撃と運動』 (fire and movement) において制圧射撃を行うために、フルオート射撃可能なカービンが必要になることがあるのです」「兵士たちは、それ (フルオート射撃可能なカービン) を要求していました。私たちも、戦地でより高い火力を発揮する兵器を配備することができて嬉しく思います」
2012年以降、第101空挺師団などのいくつかの「非・特殊部隊」がM4A1カービンを使用しています。しかしこれらのM4A1カービンは新たに購入されたものであり、既存のM4カービンをコンバートしてできたM4A1を配備した部隊としては、第1歩兵師団が初となります。
アップグレードに掛かる費用は1挺あたり約240ドルで、ライフルごと買い換えるよりは遥かに安上がりです。米陸軍は、2019年までに50万挺のM4カービンをM4A1にアップグレードすることを目指していて、総費用はおよそ1億2,000万ドルに及ぶと見られています。
References:
- Army Begins To Upgrade M4 Carbines To M4A1 Configuration – Soldier Systems Daily
- Army infantry beginning adoption of upgraded M4A1 carbines – Guns.com
- Army Begins Equipping Soldiers with M4A1s | Kit Up!
Thumbnail image source: M4 CARBINE PRODUCT IMPROVEMENT PROGRAM (PIP) UPDATE