米陸軍、一般兵士のM4カービンをM4A1にアップグレード 第1歩兵師団が配備を開始

米陸軍、一般兵士のM4カービンをM4A1にアップグレード 第1歩兵師団が配備を開始

カンザス州フォート・ライリーに駐留するアメリカ陸軍第1歩兵師団向けに、3,000挺のM4カービンをM4A1カービンにコンバートする作業が開始されました。

新たに支給されたM4A1カービンを手に取るフォート・ライリーの兵士たち Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army
新たに支給されたM4A1カービンを手に取るフォート・ライリーの兵士たち
Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army

米陸軍のM4カービン改良計画、M4 PIP (Product Improvement Program)。そのフェイズ1では、一般兵士に支給されているM4カービンを、特殊作戦コマンド (SOCOM) が使用するM4A1カービンと同等の仕様にコンバートし、アップグレードすることが目標に掲げられています。
コンバートに必要なコンポーネントは、(1)M4A1用のヘヴィーバレル、(2)フルオート仕様のトリガーアセンブリ、(3)アンビデクストラス・セレクターなどであり、米陸軍は今年3月、コルト社にヘヴィーバレルの製造を、Manufacturing Support Industries社とOG Technologies社にアンビセレクターの製造を発注していました。
ロウワーレシーバーやストック、バッファーチューブ、ボルトキャリアなどは既存のM4カービンのものが使用されます。

M4A1を米陸軍の主力カービンにするべく、既存のM4をM4A1に「コンバート」することがM4 PIPの目的である Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army
M4A1を米陸軍の主力カービンにするべく、既存のM4をM4A1に「コンバート」することがM4 PIPの目的である
Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army

80年代後半、M16A1ライフルに実施されたPIPによってM16A2が誕生した際、フルオート機能は3点バースト機能に置き換えられました。これは、未熟な兵士が戦地にてトリガーを引きっぱなしにして弾をバラ撒いてしまわないようにするための対策だった、というのは有名な話です。このことが「一般兵士は3点バースト (M4)、特殊部隊員はフルオート (M4A1)」という「使い分け」に繋がったわけですが、どうして今回、一般兵士向けのカービンをフルオート仕様に改めることになったのでしょうか。
Doug Maddi最先任上級曹長は、その理由について次のように述べています。
「アフガニスタンでは、『射撃と運動』 (fire and movement) において制圧射撃を行うために、フルオート射撃可能なカービンが必要になることがあるのです」「兵士たちは、それ (フルオート射撃可能なカービン) を要求していました。私たちも、戦地でより高い火力を発揮する兵器を配備することができて嬉しく思います」

レーザー刻印により「AUTO」のセレクターマーキングが加えられる Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army
レーザー刻印により「AUTO」のセレクターマーキングが加えられる
Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army
ちなみにM16A1をA2にコンバートする際には、刻印はパンチを用いて人力で書き換えられていた Source: Cristopher R. Bartocci. (2004). Black Rifle II - the M16 into the 21st Century, Canada: Collector Grade Publications. p. 23
ちなみにM16A1をA2にコンバートする際には、刻印はパンチを用いて人力で書き換えられていた
Source: Cristopher R. Bartocci. (2004). Black Rifle II – the M16 into the 21st Century, Canada: Collector Grade Publications. p. 23

2012年以降、第101空挺師団などのいくつかの「非・特殊部隊」がM4A1カービンを使用しています。しかしこれらのM4A1カービンは新たに購入されたものであり、既存のM4カービンをコンバートしてできたM4A1を配備した部隊としては、第1歩兵師団が初となります。
アップグレードに掛かる費用は1挺あたり約240ドルで、ライフルごと買い換えるよりは遥かに安上がりです。米陸軍は、2019年までに50万挺のM4カービンをM4A1にアップグレードすることを目指していて、総費用はおよそ1億2,000万ドルに及ぶと見られています。

アラバマ州のアニストン陸軍補給敞では、民間人が毎週およそ300挺のM4カービンをコンバートしている Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army
アラバマ州のアニストン陸軍補給敞では、民間人が毎週およそ300挺のM4カービンをコンバートしている
Source: Beefier carbines en route to Soldiers | Article | The United States Army

References:

Thumbnail image source: M4 CARBINE PRODUCT IMPROVEMENT PROGRAM (PIP) UPDATE